子供の時分にアメリカ産の炭酸飲料が自動販売機に並んでいたことを覚えている。
コンビニが町に一軒あるかないか、消費税なるものが導入される前の時代のことだ。
セブンアップ、マウンテンデュー、メローイエロー、などなど。
日本ではめっきり見かけなくなってしまったけれど、アメリカではロゴこそ変わっていてもブランドはしっかり残っていて、スーパーマーケットに行けば懐かしい名前を見つけられる。
この日はドクターペッパーの列が目に入った。赤紫に白のロゴは当時のイメージのままだ。
左からダイエット、ゼロシュガー、クリームソーダ、チェリー、オリジナルと五つものフレーバーが。黒いクリームソーダとは一体 ―― 。

ミシガンにいた頃に、とある現地自動車メーカーの方々とのミーティングがあった。
会議室に入ると、部屋の隅に置かれたテーブルの上にはドクターペッパー、コカコーラ、ダイエットコーラ、スプライトが数十本用意されていたのだった。
それらはすべて炭酸飲料であり、ミネラルウォーターはおろかフレッシュジュースすらなく、炭酸オンリーとは ―― 。
ミーティングが始まると、皆が旨そうにゴクゴク、グビグビと飲み、早いペースで二本目を開ける人も。
アメリカ、そこは炭酸ヘブンだ。