空の旅 ―― といってもそれは出張であり、行先は決まって北海道なのだけれど、”仕事” という重苦しさや飽きを感じずいるそこには、しっかりと楽しみがあるからだろう。
機内で「星の王子さま」を読むことが毎回の楽しみであり、今では空のともとなった。
フライトの度に星の王子さまを持っていきたくなるその訳を考えてみても説明がつかず、とにかくそうした衝動に駆られるのだ。
キツネの言葉に、王子さまの想いに、バラの姿に ―― 想像を掻き立てられ、情景が浮かぶとページをめくれなくなり、星の王子さまには何か不思議な力を感じる。

きっとその魅力がわかってもらえるような気がして、子供向けの英語で書かれた星の王子さまを贈ったことがある。
私が好きなの、どうして ―― それ以上の言葉を聞くことはできなかったけれど、そのひと言で十分だった。
どうして好きなのか。こうしてまた想像を楽しませてくれる星の王子さまを今夜も。