前回の投稿で触れたフラットメイトについて書いてみたい。
ロンドン北部のマズウェルヒルという小さな町にあるフラットに住んでいた。
内見に行った時に玄関先で住人から「こんにちは」と挨拶をされ、日本人が住んでいることを知り、ほっとしたことを覚えている。
部屋を案内されたあとに共同のキッチンへとつながる通路を歩いていると、和風だしの香りが漂ってきて「ここは異国の地ではなかったか」と思わず笑ってしまった。
右も左もわからぬロンドンで、日本人が住んでいるということだけでも安心感があって、すぐに部屋を借りることに決めた。
住み始めるとほどなくして、日本人住人と交流するようになった。
デザインオフィスの経営者、語学留学の大学生、バイオリニストを志す音大生、長期休暇を楽しむ人も。
彼ら彼女らは親切で、町の中を案内してくれたり、日本食を作ってくれたり、そういえば英語を教わったこともあった。
誰かの誕生日となれば、皆で集まって祝ったことも懐かしい。
ラリーの応援に来てくれたことも嬉しかった。
ロンドンから遠く離れたウエールズやマン島にまで駆けつけてくれて、スタート会場で皆の姿を見ると「頑張らなきゃ」と気合を入れたものだ。
帰国後も年賀状のやりとりをしたり、しばらく交流があったものの、いつしか音信不通になってしまった。
それでも皆のことを忘れずにいて、プレゼントしてもらったギターと数枚の写真は思い出と共にある。
