羽田から女満別へと飛び、空港に着いてレンタカー屋で車を借り、走らせる。北見の街に着き、車を停めて商店街を歩き始めると、忘れかけていた匂いが鼻に ―― 石油ストーブの香りである 。

子供の頃は、まだファンヒーターなるものはなくて、石油ストーブで暖をとるのが一般的だったように思う。自宅には数台の石油ストーブがあったし、友人の家もそうだった。学校では教室の入り口前に置かれていた。
担任の先生が給食の残った白米を握り、ストーブの上にのせて、焼きおにぎりを作ってくださったこと、ストーブの上に置かれたたらいに水を張り、牛乳瓶を並べてホットミルクにしてくださったことも覚えている。
現代の暖房器具の主流はエアコン、次にファンヒーター、とつづくらしい。なるほど、どちらも石油ストーブに比べて安全だろうし、経済的でもありそうだ。
時代の流れには逆らえないけれど、今でも石油ストーブが好きだ。たとえば、やかんを置いておけばコーヒーやお茶が楽しめるし、料理を温めることもできれば、餅や干し芋を焼いても美味しい。そういえば、祖父は燗をつけていた。石油ストーブならではのものだろう。
さて、今日までに石油ストーブで焼いてきたのは、なにも餅や干し芋だけではない。
幼少の頃にマイヒップ、いや、尻を焼いたことがあるのだった。次の週末にでもその話について書いてみたい。