タッチパネル

 

三月になったとはいえ、このあたりの気候はまだ冬のそれだ。
寒さのピークは過ぎても、昼も夜も気温は氷点下にある。

それほどの寒さにあるから、部屋の暖房は毎日フル稼働している。
アパートに住み始めた日に大家さんから「冬場は暖房は必ずつけたままにしておくこと。出張で留守にする時も暖房の設定は最低でも十五度以上にしておかないと、水道管が凍って破裂するから」と念押しされたものだ。

職場にしても同じで、早朝の誰もいない時間に出社しても、室温が保たれている。
彼らのように半袖姿でパソコンに向かうことはとてもできないけれど、シャツに薄手の上着で十分だ。

そうした環境下にあって、どこも空気が相当に乾燥している。
こうなるとやっかいなのが、タッチパネルの操作だ。

乾きに乾いた空気は仕方がないとして、もともとの乾燥肌に年齢からくるものであろう乾きも加わり、最高の乾燥度にあって、パネルを押せども押せども反応しないのだ。

スーパーマーケットのセルフレジでパネルが反応しなくても、さほど困ることはない。
そこは暖かいし、見かねた店員さんが助けてくれることもある。

問題はガソリンスタンドのタッチパネルだ。
アメリカのガソリンスタンドはどこもセルフ式で、店員さんはショップ内に篭っていて、助けを求めるのは躊躇われる。

隣の給油機で、事も無げにタッチパネルを操作する青年のその若さが恨めしい。いや、羨ましい。
まさか「代わりに押してもらえないかな? 君もこの辛さがいつかわかる」と頼むわけにもいかず、凍える指先でパネルを押しつづけるほかない。

親指で、人差し指で、ものは試しと小指で押したところでパネルは黙ったままで、負けじと繰り返し押していると機械が根負けするのか、連射により指先から染み出す汗が作用するのか、突然に反応し出したりする。努力は報われるらしい。

外は今も雪が深々と。
春が待たれる。

 

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