続・鬼コーチ

 

“オールドルーキー” に対して、はじめは優しかったコーチの指導も徐々に厳しさを増していった。
コーチは「常に脚を動かせ」と言う。
しかし、ついつい相手が放ったシャトルに見入ってしまったり、疲れてくると脚の動きが止まってしまうのだ。

一度だけ下手っぴな英語で、下手っぴな言い訳をしたことがある。

「頭は『走れ』と言っているんです。でも、脚は『はい』とは言わないんです」

コーチは表情ひとつ変えずに返してきた。

「それは、誰もが毎朝ベッドからなかなか起きられないのと同じだ。止まっていないでとにかく脚を動かすんだ」

鬼かもしれない。
レッスンは一回三時間で行われ、基本的に休憩時間はない。喉が渇いたなら、コートから出て水分補給をして、またすぐにコートに戻るのだ。
いつも開始から二時間を過ぎたあたりで、足が棒になってしまい、動きが鈍ってしまう。

体力不足は認めるけれども、ベッドから起きられないの意思の弱さと、疲れ果てて動かなくなった足を一緒にして欲しくない、と思いながらも、その場にいたほかメンバーがこのやりとりを笑っていたから、その笑いに便乗することにした。

コーチのお言葉にはつづきがあった。
「それと何度も言うけど、どうして相手が取りやすいところにシャトルを返すんだ? だから打ち込まれてしまうんだ」

鬼だろう。
それは結果的なものであって、狙ったところに返せるほどの技術があったなら、やっている。

こんなこともあった。
シャトルがふわりと浮き上がって、サイドラインを越した相手のショットを懸命に追いかけるも間に合わず、勢い余って壁に激突した時のことだった。
コーチは「Nice try」と。これは褒められたのではなく、ようするに「惜しかったね」といったもので、あっさりとした物言いに、ぶつけた右腕の痛みは増した。
鬼に違いない。女性メンバーを褒めちぎるあの優しさのかけらだけでも欲しい。

夏休みを挟んでいたバトミントンクラブは間もなく再開される。
自主練とバトミントンの動画を見て研究した、その成果を見せたい。
「鬼は外」 ―― コーチに渾身のスマッシュを。

 

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1件のフィードバック

  1. 3時間ぶっつづけはきついやね。(笑) 鬼コーチ。でも体も鍛え甲斐があるし、勉強のし甲斐もある。シャトルに見入ってしまわない方法の研究とか。楽しんで。

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