お守り

 

かれこれ三十年の付き合いになる高校の同級生Mがいる。
クラス替えのなかった高校生活の三年間を同じ教室で過ごし、短い間ながら同じアルバイト先で働いていたこともあった。

今でもMとは毎年欠かさずに年賀状を送りあい、顔を合わせるのは年に一度くらいのことにあっても、互いに思い出したり、話のネタを見つけてはメールを交わしている。

そのMのお母様から、僕が海外で走ることが決まるといつもお守りを頂いている。
初めてお守りを頂いたのは、ブリティッシュ・ナショナル・ラリーシリーズに出場することが決まった23歳の時のことだった。
今年もアメリカ行きが決まると、お守りを贈って下さり、ヘルメットと共に海を渡った。

Mの生家には僕のサインが置かれている。
高校一年生の時にMの家に遊びに行った際に書いたもので、ただどういう経緯で書いたのかその記憶は残っていないのだが、Mに「サイン、書いてよ」と頼まれたはずはく、僕のことだから「特別に書いてあげるよ」などと一方的に書き置いていったような気がしてならない。

サインには日付とWorld Championと添えてあり、レースデビューはおろか、運転免許証すら持たない十六歳の高校生がワールドチャンピオンを名乗ったのだから、この当時にはすでに頭のねじが足りず、その数は一本や二本のことでは済まなかったらしい。

傍目には落書きと同然のサインに映るに違いない。
とうに無くなっていたり、捨てられていたとしてもおかしくなかった。自分ながらにそう思う。

どれほどの時が過ぎようとも、ずっと見守っていて下さるお母様とMは、ラリーと運転ばかりの僕に、誰かを思い続け、信じ続けることにより、もたらす何かがあることを教えて下さった。

 

 

C022

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