年齢を気にしないアメリカ人のこと、互いに年齢を言いも訊きもしなかったけれど、少なくとも三十代にはないことを感じ、そう感じさせたのは容姿だったか、佇まいだったか。
「英語の勉強をしても、なかなか頭に入らなくてさ」
などともはやセリフ化とした言い訳を。
「わかるよ、若い頃はスポンジが水を吸うようにね」
と相槌を。いや、同情を。
しばしば日本の職場で耳にし、それから酒の席でネタになった、「若い頃はスポンジのようにすーっと吸収できた」というあの言葉は、日本のものだけではなかったらしい。
アメリカのナイスミドルに親近感を覚えた日本のおやじである。
若い頃にどれだけの吸収力だったかはさておき、言いわけをしたくなる機会などいくらでもある。
Like a sponge absorbs water ―― 覚えておこう。