ここはやはりパンを主食とする国であり、どこのスーパーマーケットもパン売り場は豊富な種類で溢れているし、ガソリンスタンドや自動販売機にも置かれていたりする。
それに比べ、“ライス”は彼ら彼女らにとって副食でしかないから、いつでもどこでも買えるものではなく、そうした環境から結果的米断ち生活を送っていた。
ところがある日、スイッチでも入ったかのように無性に米が恋しくなって、再び米を食するようになって一ヶ月が過ぎた。
面倒が勝って、米を炊くのは日課にはならず、作り置きならぬ炊き置きをして、冷凍保存している。
それでも、炊きたてのごはんを食べるのが週に一度の楽しみで、しっかりと食事の時間に合わせて炊き上がるようタイマーをセットしている。
今さらながらに米とは偉大な食物で四十年以上毎日のように、場合によっては日に三回食するがあっても飽きを感じさせないのだから恐れ入る。
米、いや、お米様様である。今夜もごはんが美味しい。